先月の[報告]第28回全国女性建築士連絡協議会 高知大会の引き続き掲載させて頂きます。
青年・女性委員会において、それぞれの参加した分科会などについて発表を行いました。
■D 分科会「会員拡大に向けた取り組み」けんちくおごじょ大集合!~豊かな暮らしの実現に向けて~
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「けんちくおごじょ大革命」と題した鹿児島県建築士会の本房さんからの報告は、多くの建築士会士会が抱える「会員の減少」や「活動会員の固定化」の問題解決の糸口を提示してくれました。
取組みの初めに、会の現状把握を行い、会を運営する役員と会員の年代構成のギャップが何かしら影響しているのではないか。活動に参加していない会員へのヒアリングの実施により、「女性部会とは何か」という根本的な問いを受け、女性部会の「存在」について掘り下げる契機とした。その結果「建築士会に所属する女性が、単なる仲間づくりにとどまらず、『豊かな暮らしの実現』のために何を発信し、どうつながり、どう生きていくのか」をテーマとして開催した様々なセミナーは、会員の掘り起こしにとどまらず「建築の世界で働く女性のための研修会」として、未来につながる大きなネットワークを構築する結果となった。という報告の後のグループ討議は大いに盛り上がりました。
■ E分科会「自治体連携とまちづくり」
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山口県徳山支部による「まち塾」の活動では、「H19徳山駅周辺デザイン会議」で駅前広場の設計を大幅に見直すきっかけを作ったり、景観について様々な勉強会を行い市の職員にも声をかけたり、まちの測色を行い作り上げた提案書「まちの景観作法書」を市へ寄贈し都市景観の窓口で活用されている等、行政との関わりについて紹介がありました。
更に、地元の祭でのウォークラリー開催や、路上でのキャンドルイベントの開催、歩行者優先道路化社会実験として通りを通行止めにしたイベント開催などに、行政や地元住民、事業者と共に、建築士会として積極的に参加・協力した事例が紹介されました。これまで「まち塾」として約10年に渡り、建築士会としてまちづくりに積極的に関わり続けた結果、行政や地元市民と信頼関係を築くことができ、そのことが更なる連携に繋がっているのだと思いました。
意見交換の中で伺った「縦割りの行政内部でも<建築士会つながり>で横の連携が取れるように、日頃から各部署へのコミュニケーションを継続して行うようにしている」との話が大変印象的でした。
■G分科会 「高齢社会と住まい」
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G分科会「高齢社会と住まい」では、愛知建築士会の「福祉のすまい特別委員会」での取り組みを聞くことができました。
この分科会を選んだのは、自分の親がそろそろ介護される側になり、介護保険の仕組みや高齢者の住まいがより身近なものになったからです。コメンテーターは、福祉用具貸与事業所を経営し、住宅改修も行っている方で、事業を始めた頃の苦労話も聞くことができました。
分科会の内容をかいつまんで報告します。まず、建築士が地域ケア会議に参加するのはハードルがあり、声はかからないとのとこ。退院間近の利用者が、スムーズに家での生活ができるためには、手摺などのハード面だけではなく、動線を考えたレイアウト変更や、また既存の雰囲気に合わせた改修も必要と思われます。しかし、家屋調査には建築士は呼ばれません。そこで、建築士会を通じて、建築士の地域ケア会議への出席の必要性を訴え、それを実現されました。コメンテーターからのメッセージは、建築士も地域ケア会議へ出席し「コミュニティアーキテクト」になって欲しい、でした。
グループ討議では、「地域ケア会議に建築士が参加するとどんな良いことがあると思いますか?」をテーマに意見交換を行いました。建築士の知識は、利用者が「安心・安全・安楽」な生活をするためにも必要だ、と締めくくりました。
■エキスカーション「武家のまち土居廓中散策」~高知で2番目の重要伝統的建造物群保存地区~
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「土居廓中」は、鎌倉時代に築かれた安芸城を中心とした町割りを基本として、関ヶ原の合戦後、ここに配された土佐藩家老五藤氏が整備・発展させた地域です。江戸時代からの残る道や排水溝があり、車一台がようやく通れる狭さですが、ここに住む人たちはその不便さと共存しながら生活しています。道沿いには「土用竹」と呼ばれる竹やウバメガシで作られた生垣があり、地域の人で定期的に手入れをされているそうです。平成24年に国の重伝建地区に選定されています。高知では、台風などで雨が横から降ってくるとの事で、壁面を保護するため「水切り瓦」(小さい庇のようなもの)を壁面に設けられていたり、屋根に対して風の吹いてくる向きによって、右瓦と左瓦を巧みに使い分けて葺いているとの事で昔からの災害への備えが建築の中にも活かされていました。安芸のシンボル「野良時計」がひまわり畑に囲まれ夏の風景を彩っていました。
青年女性委員会 副委員長(福岡地域会) 樋口 はる香
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